推しにおされて、すすむ恋
「何か変わったことあった?」
「え、んーっと……」
頬をぽりっとかく、ゆの。
眉を八の字にしてる。何か困ったことがあったんだろうな。
でも、ゆのは言わないつもりらしい。「何でもないよ」と、絆創膏を取りにいくため、俺の腕の中からスポンと抜けた。
「なんでもない、わけないよね……?」
てっきり頼ってくれるかと思ったら、ヒミツにされた。さっき、リムチ―と何を話したんだろう。
っていうか、なんで俺――
「こんなに、気になってるんだろう」
「ご飯のメニューが、そんなに気になるか?」
「ッ!」
いきなり割って入ったヤタカに、心底ビックリする。
でも本人は俺のことなんか知ったことない、と言わんばかりに。リムチーを見ながら「は~。最年少の教育も楽じゃないな」と、首を鳴らした。
「そういや今日はカレーだからな」
「……あぁ、うん」
「なんだ〝気になる〟って言ってたのに、薄い反応だな」