推しにおされて、すすむ恋
おし と おしばい
「うまそーなカレーが出来たなぁ。最初の流血事件が嘘みたいだな」
(キラキラ光っているようにさえ見える)美味しそうなカレーを見て、ヤタカも目を輝かせた。
っていうか……
流血事件って、私のことだよね⁉
絆創膏を巻いた指を隠し「お騒がせしました」と頭を下げる。
すると自ずと、目の前のカレーと距離が近くなる。
ゴクン
美味しそうなお昼ご飯に、思わず喉が鳴った。
結局、あの後――
私が絆創膏を探しているうちに、皆が具材を切って、カレーを作り終えていた。
うぅ、ぜんぜん役に立てなかった。
してもらってばかりじゃダメだし……、あ!
ゴム手袋をつけたら、お皿荒いはできるよね?
よし、そこで挽回しよう!
このままじゃ、ステラの名前に傷がついちゃう!
むん、と気合を入れた時、向かいに座る玲くんと目が合う。
私をじぃっと見つめたかと思えば、ハッとして、次にニッコリした。
玲くん、どうかしたのかな。
もしかして、私の顔に何かついてる?
ポケットから急いで手鏡を取り出し、覗きこむ。
特に何もついてなくて、ホッと胸をなでおろしていると……隣から、小さな声が届いた。