推しにおされて、すすむ恋
「何をどう頑張ったってアンタはステラに成り得ないんだから、無駄な努力はしない方がいいよ」
「(その通りだけど、もっとオブラートに包んでほしいよ、リムチー!)」
私の隣にいるのを良い事に、皆には聞こえない小さな声で、的確に攻撃される。
あいかわらず言葉が鋭い!
命中率100%だよ!
まさか本物リムチーが、ここまでドライだとは思わなかった。
お姉ちゃんが〝あぁ言った〟理由が、今なら分かる。
『私は、メンバーのプライベートを見ても、ゆのがドン引きしないか心配なのよ』
あれは「リムチー=ドライ」の事を言っていたんだ。
私はNeo‐Flashのファンだから、本物リムチーを知っても嫌いにはならない。もちろん、ビックリはしたけどね!
でもリムチーって、私が偽物って分かっても、他のメンバーに言おうとしなかった。きっと本ステラの意思を尊重してるんだと思う。
そこまでステラの事を思ってくれるリムチーって……ドライだけど、やっぱり優しいよ。
「よーし、料理の写真撮影おわり。
さっきコテージの写真をアップしたら、リスナーからの反応が良かったんだよな。だからカレーを食べてる時、少しの間ライブ配信しようと思う。被写体は、もちろんカレーだ」
持って来た機材を、長方形のテーブル上にセットするヤタカ。小さなお皿に盛ったカレーを見て「よしOK」と、口に弧を描く。