推しにおされて、すすむ恋
おし と すきなひと
「さーて、今から撮影するぞー」
「(ついに、この時間が来ちゃった!)」
満点の星空の下。
私たち四人は、薄い長そでを着て外に出た。
五月初旬の夜って、まだまだ寒い。
私の服、ちょっと薄いかも……。
もう一枚、余分にもって来れば良かった。
フワ
「どうぞ、ゆの」
「!」
柔らかい物が肩に掛けられる。見ると、黒色のパーカー。
厚い生地のおかげで、体温が逃げないから寒くない。
「これで寒くない?」
「玲くん、ありがとう」
私の横に立つ玲くんがニコリとほほ笑む。
つられて私も、暖かな服をキュッとつかんだ。
ん?でも待って。
もしかしなくても、この服って……
玲くんの私物⁉
「わ、私は大丈夫だから!玲くんが着て?ね?」
「俺は寒くないから気にしないで。それに……その服、俺の寝る時の服なんだ。こんな物しかなくてごめんね」
「(つまり玲くんのパジャマ⁉)」