推しにおされて、すすむ恋

「!」

初めて見る綾瀬くんの表情に、すごい速さで胸が鳴る。

わぁ、やっぱり綾瀬くんって、イケメンなんだな……!


「おーい、小鈴さん?」
「んぎゃっ」


なかなか反応しない私の頬を、ミーと横に引っ張る綾瀬くん。


「わぁ⁉すごい顔が、もっとすごくなっちゃうからダメ!」
「ん?もっと可愛くなるってこと?」

「逆だよ、逆!見れたもんじゃないってこと」
「ぷっ、なにそれ」


黒い髪が、風に揺られてそよいでいる。

私……今まで知らなかったけど、綾瀬くんってこんなに柔らかい雰囲気の人なんだ。こんなに優しく笑う人だったんだ。

今日、一緒に帰れて良かったなぁ。


「そういえばNeo-Flashの中で誰が好きなの?」
「ノアくん!頭がよくて、カッコイイんだよ~」

「……」
「ん?綾瀬くん、足だけじゃなくて耳が赤いけど、どうしたの?」

「……いや」


なんでもない――そう言って綾瀬くんはサッと顔をそらした後。何事もなかったように、再び私へ目をやる。


「ちなみになんだけど、ノアと会ったことある?」
「んぇ⁉」

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