推しにおされて、すすむ恋
申し訳なさそうに笑う玲くんを見て、胸の内がこみあげる。
玲くんって、本当に優しいなぁ。
思えば、クラスでも玲くんは人気だ。
クールだけど、カッコいいし優しからって。
「(玲くんって、皆に優しいもんね)」
例えば学校の人。
例えばクラスの人。
例えば動画のリスナー。
例えば……私のお姉ちゃん。
「(玲くんには何でも相談するお姉ちゃん、か。
そう言えば、お姉ちゃん。今頃なにしてるんだろう?)」
家で大人しくしてくれていたらいいけど……。
あ、私の部屋にいるなら、ついでに課題やってくれないかなぁ。
「(最初は〝何で私が仮ステラなの〟って思ったけど……。でも今ここにいるのも全て、おねえちゃんのおかげなんだよね)」
隣に立つ玲くんを見上げる。
玲くんイケメン具合と、彼の向こうに広がる星空が重なって、まるで絵画を見てるみたい。
「(〝入れ代わるなんて無理〟って思ったけど、今となっては、やって良かった。玲くんと一緒にいられるし、玲くんの新たな一面をいっぱい知れたもん)」
お姉ちゃんに感謝しないと。
そうだ、駅でお土産を買って帰ろう!
お姉ちゃん、甘い物好きだったよね?
ついでに私の分も買おう!――ルンルンと心を弾ませる中。
肝心なことに、今さら気づく。