推しにおされて、すすむ恋
「ステラって姉御肌だから、男女のリスナー皆を引っ張っていくセリフにしたよ。それはそれでロマンチックでしょ?」
「……うん。良いセリフだね」
「ふふ。でしょ!」
玲くんは、それ以上は追求してこなかった。
もしかして、私が心の憶測で抱えている「お姉ちゃんへの心配」を汲み取ってくれたのかも。
思えば、玲くんはただ一人でお姉ちゃんの悩みを聞いているんだよね。私よりも、何倍もお姉ちゃんの心配をしてるんじゃないかな。
「(なんでお姉ちゃん、玲くんにだけ相談するんだろう。もしかして、やっぱり二人は――)」
「よーし、次は俺だ!
お前ら、ちゃんと聞いておけよ!」
私たちを置いて、ヤタカが前進する。
同時に、リムチーが何やら配り始めた。
「ステラ、はい耳栓」
「わぁ、ありがとー」
「ちゃんと聞けって!耳栓するな!」
「リムチ―、俺にも」
「あいよ~」
「だから耳!もっと風通しよくしろよ!」
しぶしぶ皆が耳栓をとると、ヤタカがニヤリとほくそ笑む。
そして、誰かを抱きしめるフリをしながら、
「愛してるぜ!」
盛大に、愛の告白をした。