恋風撫でる頬

章二くんがだいたいのことを優里亜ちゃんに説明してくれる。

話を聞いた優里亜ちゃんは「何それ!」と激怒して、私の隣に座り、Q高校の彼にものすごく丁寧にお礼を言ってくれた。

それから、
「美春、からあげでも食べて元気を出して!」
と、つまようじに刺したからあげを渡してくれる。



「いや、今はそんなの食べられないだろ」
と章二くんが優里亜ちゃんにツッコむから、可笑しくなってきて、思わず笑ってしまった。



「友達と一緒にいたら、もう大丈夫かな」
と、彼が私に笑いかけてくれる。



「何か、お礼を……」
私が言うと、
「そんなの気にしないで」
と、彼は優しい声で言ってくれた。



「あの、でも……」


まだ食い下がる私に、
「じゃあ、それ、ちょーだい」
と、彼は言った。



『それ』?

『それ』って、どれ?



彼は私の手にそっと手を重ねた。

驚いて、一瞬で顔が赤くなる私。



彼は、顔を近づけてきた。



「!?」
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