恋風撫でる頬
そう思って立ち上がると、誰かが近寄ってきた。
来ているユニフォームから、Q高校の人だとわかった。
「すみません、マネージャーの人ですか?」
話しかけられて、オドオドしつつ首を振る。
不思議そうに私をじっと見ていたその人は、
「あれ、顔が赤くないですか?」
と、心配そうな表情をする。
「あ、あの、大丈夫です」
これ以上迷惑をかけたくない一心で答えると、
「頬が真っ赤ですよ。熱があるのかな」
と、更に近寄り、こう言った。
「冷やしたほうがいいと思います」
「あ、あの、でも」
これ以上、誰かに迷惑をかけてしまうのは申し訳なさすぎる。
その人は、
「ちょっと待ってて」
と、Q高の荷物をまとめて置いているテントへ走って行き、しばらくすると何かを持って帰って来た。
「これ、未開栓のスポーツドリンクです。クールボックスに入れてもらっていたものだから、冷たいと思います」
「えっ、でも」
「熱中症とかだったら危ないですよ」
彼はそう言ってペットボトルを私に渡す。