恋風撫でる頬
「ラブストーリーが好き? アクションとかのほうが好き?」
「えっ……」
(これって……、私が答えやすいように質問の仕方を変えてくれたんだ)
「あ、でも、上映スケジュール見たらファンタジーもあったよ」
「ファンタジー、ですか?」
「うん。海外の映画で、魔法使いとか出て来るんだって。大人にも人気らしい」
それ、観たいな。
私、ファンタジーもの、大好きだから。
それをどう伝えよう、と恭介くんを見ながら考えていたら。
「ファンタジー映画にする?」
と、恭介くん。
「良いんですか?」
「全然良いよ! ってか、美春ちゃんの目つき変わったから、観たいんだなってすぐわかった」
そう言われて、
「目つき……、どんな目つきですか?」
と尋ねると、
「目がね、もう、キラッキラに輝いてたよ」
なんて、恭介くんは笑う。
「面白いといいね、映画! 楽しみ!」
と、嬉しそうに歩く恭介くんに、私は心から安心した。