恋風撫でる頬

映画館に来て。

チケットを購入する。



恭介くんが、
「ポップコーン食べる?」
と、聞いてくれる。



重ねて、
「塩とキャラメルのハーフでいい?」
と聞かれたので、大きく頷く。



渡されたポップコーンは、丸い箱の中に入っていて。

ちょうど半分のところに仕切りがあって。

塩味とキャラメル味で分かれていた。



「美味しそうだね」



私の視線に気づき、恭介くんが笑ってくれる。

何度もこくこくと頷き、
「楽しみです」
と、指定された席に座る。



恭介くんがパクッとキャラメル味のほうを食べると、
「美春ちゃん、これ美味しいよ。正解だった。食べてみて」
と言い、私の口元にポップコーンを持ってきた。



(えっ)



これは。

どうすればいいの?

手に貰って自分で食べるんだよね?

でも、この距離感。

手に渡してもらう感じじゃない……?



戸惑っていると、
「ほら、口開けて」
と、恭介くんが言った。
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