恋風撫でる頬

「えっ、あ、はい」



戸惑いつつも、おそるおそる口を開けると。

恭介くんがそのままポップコーンを私の口の中に放り込んだ。



「!!」




なんか、これって!!

超恥ずかしい!!!!!




「あれ、美味しくない?」

「あ、美味しい、です!」

「でしょ? もっと食べてね」



ニコニコしている恭介くん。

私は隣で心臓をバクバクさせながら。

心の中でキャーキャー騒いでいた。



あぁ。

こんなにドキドキして。

映画に集中出来るかな。



(だけど)



この、ふわふわ舞い上がるような。

そわそわと落ち着かないような。

ドキドキと高鳴る気持ちは。



(すごく心地良い)




隣の席には恭介くんがいて。

同じ時間を共有している。



(嬉しい……)



この時間がずっと続けばいいのに。







照明が落とされて。

真っ暗な中。

スクリーンだけがふわっと明るくなる。
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