恋風撫でる頬
第三話
「面白かったね」
と、恭介くんが言ったから、私は大きく頷いた。
映画館を出て、隣のカフェに来ている。
恭介くんはホットコーヒー。
私はココアラテ。
テーブルを挟んで向かい合わせに座っても、やっぱりドキドキする。
「ラスト、あんなふうになるとは思わなかったよね」
「はい」
「てっきり裏切られたまま終わるのかなって思ったら、ラストで助けに来るんだよなー。あれ、ちょっと感動だった」
「わかります!」
「ファンタジー、好きなの? よく観るの?」
尋ねられて、私が頷くと、
「そっかぁ。良かったら今度、オススメ教えてほしいかも。オレ、ファンタジーって観てこなかったから、あんまり知らないんだ」
と言って、
「今日、観られて良かった」
なんて、満足そうに笑っている。
(オススメ……、たくさんある!)
観てほしいファンタジー映画のことを考えて、私もほくほくした気持ちになってくる。
(今度、リスト考えよう)