恋風撫でる頬
第三章 動物園
第一話
しばらく恭介くんと会えなかった。
テストがあるからって言われて。
勉強の邪魔にならないように、メッセージも控えた。
でも。
恭介くんのテストが終わった昨日に、メッセージをもらえて、飛び跳ねるほど嬉しかった。
《明日、時間ある?
市立動物園に一緒に行かない?》
なので、私は今。
市立動物園の入園門の前まで来ている。
恭介くんが先に来て、私を待っててくれている姿を見て。
私、泣き出すんじゃないかって思うくらいに、感激してしまった。
「お、お待たせしました」
かけ寄ると、恭介くんは、
「久しぶり」
と、笑った。
「テスト、お疲れさまでした」
「うん。ありがとう」
恭介くんは先に買ってくれていたらしい、入園チケットを私に渡してくれながら、
「テスト終わったら美春ちゃんとデートしようって思ってて。すっごく楽しみだったよ」
と、言った。
「!!」
ぶわっと、私の背後でお花が咲いた。
そんな気がした。
少女漫画だったら、絶対そんなふうに描かれていると思う。