恋風撫でる頬

「はい。せいちゃんの背中の模様が、ひとつだけ星型に見えるものがあるそうです」

「えっ! そうなんだ!?」

「その星型を見つけると願いが叶うと言われているんです!」

「あはっ、すげー!」



恭介くんはせいちゃんの背中をじっと見ている。



「美春ちゃんだったらどんな願い事する?」



突然の質問に、私はうーん、と首をひねる。



(恭介くんと両想いになりたいです)



パッと浮かんだ願いを。

まさか、本人に伝えることも出来ず。



「……う、うまく話せるようになりたいです、とか?」
と、誤魔化した。



(日頃から考えている、真剣なお願い事に変わりはないけれど)



恭介くんはせいちゃんの背中から私に視線を移し、
「えっ? 美春ちゃん、話すのうまいけどな」
と、言った。



「えっ!?」



「えっ、そんなに驚く?」

「そんなふうに言われたのは、初めてです」

「へぇー! オレ、そっちのほうが驚きかも」
< 50 / 102 >

この作品をシェア

pagetop