恋風撫でる頬

私が。

話すのがうまい?



「ユカイくんやせいちゃんのことだって、丁寧に教えてくれるし。わかりやすい説明だと思うよ」
と言って、
「話してると、楽しいけどな」
なんて言う恭介くん。



(そんなふうに思ってもらえる日が来るなんて……!)



泣きそうになった。

その証拠に喉の奥が詰まったみたいに、ぎゅんと痛くなる。



一生懸命に涙をこらえて。

私もせいちゃんの背中を見つめた。






しばらくして。



「恭介くんが見たい動物を見に行きませんか?」
と、尋ねてみた。



「好きな動物、気になる動物、いませんか?」



重ねて聞くと、
「ライオン」
と、恭介くん。



「ライオン! ここのブースから近いですよ。行きましょう!」



歩き出すと、ものの5分も経たないうちにライオンのブースにやって来た。




百獣の王、ライオン。

絶賛お昼寝中……。



「あはっ、可愛い」
と、恭介くんが笑った。
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