恋風撫でる頬

私も頷く。



すっきり晴れたので、お日様があたたかく心地良いのかもしれない。

すやすや眠るライオンは、まるで…………。



「大きいネコみたいじゃない?」
と、恭介くんが言う。



「今、まさにそう思っていました」



私は恭介くんに、
「ネコ、お好きなんですか?」
と尋ねると、少し寂しそうな表情で答えてくれた。



「ずっとネコが家にいたんだ。もう亡くなってしまったけれど。だから、ネコはなんか、特別好きなんだ」

「そうだったんですね」



すやすや眠っているライオンをふたりで黙って眺めていると、わーっと走ってブースに近づいてきた男の子が、
「かっけー!」
と、騒いでいる。



「こら、大きい声を出さないの! 周りの人に迷惑でしょ」



追いかけてやって来たのは、男の子のお母さんらしく、男の子はお母さんに興奮した様子で話しかける。



「ぼく知ってるよ、ライオンってネコの仲間なんでしょ」
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