恋風撫でる頬
「えっ、よく知ってるね!?」
「あのねー、ネコ科っていうんでしょ」
得意気に話す男の子が可愛らしい。
恭介くんもそう思っているらしく、微笑んでいる。
はしゃぐ男の子が私にぶつかった。
男の子は、
「ごめんなさい」
と言い、お母さんも慌てた様子で、
「すみませんっ」
と頭を下げてくれる。
「だ、大丈夫です」
男の子が私に、
「あのねー、お姉さんに良いこと教えてあげるからね」
と、片手で手招きする仕草をした。
私はしゃがみ、男の子と視線を合わす。
恭介くんも、
「何?」
と、しゃがんでいる。
私達ふたりに内緒話をするように、男の子は小声でこう言った。
「ここのふれあい広場でね、うさぎさんがいるんだよ。抱っこできるんだよ」
男の子はニコニコ笑って、こう続ける。
「ふわふわでね、可愛いからね」
可愛らしい内緒話に、私は頷き、恭介くんも
「教えてくれて、ありがとう」
と、小声で返した。