恋風撫でる頬
ふれあい広場から出て。
他の見たい動物のブースをまわり、動物園を出る頃には空がうっすら赤くなっていた。
電車に乗って。
スマートフォンで撮った画像を眺める。
「楽しかったね」
と、恭介くんが隣で笑ってくれる。
私は頷く。
「みんな、可愛かったです」
「うん。ユカイくんも、最後にもっかい見に行ったら、やっぱりとろんとした目をしてて、可愛かったなぁ」
「はい! ユカイくんは可愛いです」
「あはははっ、うん。それはわかるよ」
恭介くんは、
「でも、はしゃぎ過ぎたぁ〜」
と、小さくあくびをした。
大丈夫ですか、と尋ねる前に、私の肩にとんっと重みが加わる。
「恭介くん?」
「…………ごめん、ちょっとだけ」
「!?」
(恭介くんの頭が、私の肩にのっている!)
突然の出来事に、固まってしまう。
(こ、これは、少女漫画でよく見るやつだ!)