恋風撫でる頬
第四章 ショッピング

第一話


(楽しかったなぁ……)



県立A高校。

一年二組の教室で。

私は今日も、恭介くんと行った動物園のことを思い出していた。

手には、スマートフォン。

画面にはその時の画像。



写真の中。

ウサギと一緒に写る恭介くんは。

可愛く見える時もあれば。

やっぱりかっこよく見える時もあって。

自分の好きの深さを、ここ最近、思い知っている。



「また見てんの?」



章二くんが私のそばにやって来て、スマートフォンをのぞく。



「だから、人のスマホをのぞくな」
と、優里亜ちゃんもやって来た。



いつもならふざけるように笑って返す章二くんなのに、
「うるせーな」
と、不機嫌な声で返事をした。



「な、何か、怒ってる?」



この間だって。

不機嫌そうに見えた。



(やっぱり私、浮かれ過ぎていてウザいのかもしれない)



不安になって怒っているのか尋ねると、
「別に」
と、そっぽを向いた章二くんが少し黙ってから、こう続けた。
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