恋風撫でる頬
「いや、そりゃ覚えるでしょ」
と、恭介くんは笑ってこう言った。
「だって、美春ちゃんの誕生日だもん」
「!!」
「よし、じゃあ、何が欲しい?」
(えっ、えーっ!?)
嬉しいことが次から次へとやって来て。
私、大丈夫かな?
なんだか怖いくらいだなぁ……。
恭介くんと目の前にあったアクセサリー店に入り、
「ゆっくり考えてくれてもいいから」
と言われつつ、店内を回る。
……欲しいもの。
お揃いのものが……、欲しいなぁ。
でも、そんなの言えないよ。
図々しいなんて思われたら。
(私、立ち直れないと思う)
そんなことを思いつつ、でもやっぱり目に止まるのはお揃いのアイテム。
(あっ、これ、可愛い……)
それは。
シルバーのブレスレットで。
小さなプレートが付いている。
見ていると店員がやって来て、
「このプレートに記念日やお名前などを入れられるんですよー」
と、説明してくれる。