恋風撫でる頬
「一緒に行きましょうか?」
と尋ねると、恭介くんは少し慌てたようにこう言った。
「あ、いいよ。この駅ビル、屋上があるんだ。そこで待ってて」
言われた通り、私は屋上に向かって。
設置されているベンチに座って、少し暗くなり始めた空を見ていた。
(恭介くん、変に思ったかな?)
せっかく誕生日のプレゼントを選ばせてもらえているのに。
素直に言えなかったこと。
きっと、恭介くんに伝わっちゃったよね?
(……ダメだ、泣きそう)
そう思っていたら。
「美春ちゃん!」
と、恭介くんが屋上にやって来た。
「ごめん、お待たせ」
私の座っているベンチまでかけ寄ってきた恭介くんは、
「はい」
と、私に小さな紙袋を手渡してくれた。
「?」
「あげる。誕生日にはちょっと早いけど」
渡された袋には、さっきいたアクセサリー店のロゴが印字されている。