恋風撫でる頬
第三話
駅ビルの屋上で、恭介くんにブレスレットを付けてもらった。
気になるプレートには、何も書かれていない。
「プレートに何か入れたい場合は、購入後いつでも大丈夫って店員さんが言ってたよ」
「あ、はいっ」
「これ、オレにも付けてくれる?」
もうひとつのブレスレットを指差し、恭介くんが私に腕を近づける。
私は緊張しながら、ブレスレットを恭介くんに付けた。
「オレ、恵以外の女の子とのお揃いって、初めてだ」
「!」
(……嬉しい!!)
「昔の写真見たらさ、恵とお揃いばっかり着てるんだよなぁ。両親がそういう洋服探すの、大好きでさ」
「見たい……です。恭介くんの小さい頃」
思わずそう言うと、
「えー、恥ずかしいかもしんないっ」
と、恭介くんが珍しく照れた。
「オレ、小さい頃って、いっつも女の子に間違われてたからなぁ」
(余計に見たくなる……)
恭介くんが私の腕に自分の腕を寄せて、
「なんか、嬉しいね。これ」
と、笑った。