恋風撫でる頬
いきなりの展開についていけず、戸惑っている私を、恭介くんは「こっち」と、屋上のフェンスまでつれて来てくれる。
そこからは、駅のホームに到着する、もしくは駅のホームから出発する電車が見えた。
「ちょっと暗いけれど、電車が何両あるかとかは見えるよね?」
「? はい」
「じゃあ、ここで問題です!」
恭介くんは、ニコニコ笑ってこう言った。
「次にこの駅に来る電車は、一体何両でしょう?」
「えっ!?」
「答えられたら、オレが美春ちゃんのお願いを何でも聞いてあげるよ」
「な、何でも?」
「でも、オレも何両かはわかんないから、一緒に数えて、一致したら正解ってことでおっけー?」
私は頷き、
「数えていいってことですよね?」
と、確認した。
「おっ、やる気あるねー。うん、数えていいよ。ただ、ここからの位置だと電車のスピードが速いままだから、難しいかもだけど」
恭介くんに、「わかりました」と伝えて、私は電車が通るのを待つ。