恋風撫でる頬
第二話
あれから半年が経った。
秋が深まり、時々吹く北風が肌寒い。
今日は、県立A高校の文化祭の当日。
私が通っていた中学校の文化祭は、吹奏楽部や演劇部などの、いわゆる文化部の発表の場で。
市民会館へ行って、それらの部活のステージ発表を見て終わるというものだった。
県立A高校の文化祭は派手で楽しいと、入学前から有名で。
まず、クラス単位でお店を出す決まりがある。
駄菓子屋をしているクラスがあったり。
お化け屋敷を制作したクラスもあった。
そして、各部活での食べ物や雑貨などの出店が校内のいたるところに出ている。
(お祭りみたい……)
今日を心待ちにしていたのは、きっと私だけじゃないはず。
「ねぇ、どこから回る?」
心なしか浮かれた声で、優里亜ちゃんが言う。
私達のクラスは、《積み上げゲーム・1ー2》というそのままの店名で。
空き缶や、ペットボトル、ブロックなど、教室に用意してある様々な物を積み上げていく、シンプルなゲームを提供している。