恋風撫でる頬
第五章 クリスマス
第一話
ここ最近。
一気に寒くなって。
外に出ると、街がクリスマスカラーに溢れている。
(恭介くん、今頃どうしているかな?)
近頃、連絡をしていない。
クリスマスイヴに塾の大事なテストがあるとかで、恭介くんから「しばらく連絡できない、ごめんね」と言われた。
申し訳なさそうな顔で言われて。
「わかりました」としか言えなかった。
学校帰りにデートをしているカップルを見かけると、羨ましくて、ふいにスマートフォンを取り出して恭介くんに連絡をしたくなる。
(ダメダメダメ……!)
首を振って、自分を止める。
恭介くんは、受験生なんだから。
勉強を頑張っているんだから。
(私が邪魔しちゃ、絶対にダメ!)
わがまま言いたくない。
だけど、会いたい。
声だけでいいから、聞きたい。
寂しいけど。
でも。
今は、我慢!
電車に乗って、地元のB駅まで帰って来た。
ふと、駅の掲示板に目がいく。