恋風撫でる頬

一枚のポスターに、私の目は釘付けになった。



(……クリスマスイベント?)



そのポスターには。

クリスマスイヴに、海岸の広場で。

クリスマスマーケットが開催される。

夜には花火があがるらしい。



「えっ、行きたい……」



思わず声に出していた。

ハッとして、周りを気にするけれど。

特に注目されているわけでもなく、ホッとする。



(恭介くんと花火、見たいなぁ)



夏の花火大会の時は。

まだ名前も知らないし。

再会をしていなかったから。



(クリスマスイヴ……、恭介くんはテストだよね?)



誘ったら迷惑だよね。

そもそも、今、連絡を取ること自体が迷惑になっちゃうよね?



私はポスターを見つめながら。



(大丈夫)
と、念じた。



大丈夫、イベントに行けなくても。

恭介くんとイヴに会えなくても。

私ならきっと、我慢ができるよ。
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