恋風撫でる頬

恭介くんが少しだけ体を離して。



「美春ちゃんがいい」
と言ったあと、
「美春ちゃんじゃなくちゃ、嫌だ」
と、笑顔を見せた。



……その笑顔。

私、きっとこの先ずっと覚えている気がする。






私も泣きながら、笑顔を返して。

ニコニコとふたりで笑っていたら。



「おぉ、カップル誕生の瞬間……」
と、後ろで声がした。



思わず振り向くと。

中学生くらいの女の子ふたりが、私達よりも照れて真っ赤な顔をして。

気まずそうに立っている。



「あ……、ごめんなさい」
と、私の体を離した恭介くんがニコニコしながら、謝った。





中学生の女の子ふたりは、
「いえいえ!! おめでとうございます!!」
とか、
「ありがたいものを見せて頂きました!!」
などと言って、なぜか私達を拝んでいる。



私と恭介くんは、一瞬きょとんとしてしまい、ふたりで顔を見合わせて。

同じタイミングで噴き出した。
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