太陽に手を伸ばす少女
「ま、様子見に来ただけだから」
「何もありませんよ!」
「ほんとか?」
グッと近付けられた顔に思わず足が下がる。
さっきの電話を思い出した。
「……何もないですよ、」
嘘をつく事に罪悪感がないわけではない。
でもきっと、さっきの事を話したら久住さんは引き止めるだろう。
「そ。じゃあしっかり戸締りして早く風呂入って寝ろよ」
まだ仕事があるから、と部屋の中には上がらずにそのまま久住さんは出て行って行った。