太陽に手を伸ばす少女
3時になる少し前。
出掛ける準備をしてそっとドアを開けた。
目の前にあるのは立派な御屋敷。
明かりはついているけど、深夜という事もあり流石に眠っているのかさっきよりも物凄く静かに感じた。
正面から出るときっと誰かにバレて止められる。
こういう家って裏口がありそうだけど…、と辺りを見回すと古びたドアがあった。
キィッ、という軋む音と共に簡単に開いた裏口のドア。
どうやら鍵が壊れていたらしい。
とりあえず早く向かわないと後10分くらいしたら指定された3時になってしまう。
スマホのマップアプリを開いて近くの公園へと向かった。
夜中の公園とはこんなにも静かなのかと思うくらい人気もなく声もしない。
頼りになるはずの街灯は意味をなしてないくらいの明るさで、たまにバチバチっと消えている。
3時まで後数分。
電話の主は本当に来るんだろうか。
この人も私の事を知っているって事だよね…。
まぁ、会っても認識出来ないだろうけど。
すると背後でパキッと小枝が折れるような音がした。
びっくりして振り返ると、目の前に街灯の逆光のせいで見えなくなった黒い人影が細長い何かを私に向かって振り上げているところだった。