太陽に手を伸ばす少女


行き場所に検討なんてつかない。
ここはマンションから離れすぎていて、あいつに土地勘なんて無いはずだ。

一体何処から出て行ったのか。
いや、そんな事どうでもいい。
何処に向かったのかが重要になる。


…落ち着け、大丈夫。


とりあえずツキのスマホのGPSを確認しよう。
冷静に、且つ確実に。

ツキのスマホはすぐそこの公園に留まっていた。


「兼本!!」

「っはい!」

「車出せ!すぐそこの公園だ!」


昔からどうしてあいつはこうなんだ。
しっかり掴んでいたはずなのに、砂のようにするすると指の間を抜けて逃げていく。

束縛を嫌うくせに、束縛をするクズで自分勝手な女。
俺はあいつのどこに惚れたのか未だに分からない。

公園にはご丁寧にベンチにツキのスマホが置かれていた。


「…く、久住さん、」

「あ"っ?」

「……これ、血…ですよね、」


スマホのライトで照らす先を見ると砂の上に微量の血痕が落ちていた。

ここにツキが居たのは間違いないだろう。


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