太陽に手を伸ばす少女
□□□


突如、その場の空気が変わった。
真央の視線が俺の背後に移り、ゆっくりと動いている。

条件反射のように振り返ると殴られた頭が痛むのか、頭を押さえたツキが立っていた。



「ハナ」



ふわりと笑ったツキ。
その雰囲気は今までのものとは違った。

…いや、今俺をなんて呼んだ?


「……ル、ナ?……っ、ルナなのか!?」


知っている。彼女が纏うこの独特の空気。


「ハナはやっぱり私の傍に居てくれるのね」

「っ、当たり前だろうが!!」

「ふふっ、従順なハナ。後でご褒美あげようね」


座ったままの俺と立っているルナ。
俺に近付く為に腰を曲げた拍子にルナの長い髪がサラ、と揺れ俺の頬に触れた。

くすぐったい。
視界いっぱいに広がるルナの頬に思わず手を伸ばした。
吸い込まれるように、その目から逸らせない。



鳥肌が立つほど綺麗で美しい。




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