太陽に手を伸ばす少女
「ねぇだからルナさん。俺に殺らせてください」
お願いします、というその声は怒りに震えていた。
ルナは何も言わずに弥生の肩にぽん、と触れた。
許可が降りたのだ。
「……俺が馬鹿だった。お前なんかに脅されて、」
「確かに、馬鹿だったなぁ?あの子、ずっとお前の名前を呼んでたよ?」
「やめろ」
「“弥生くんっ、弥生くん助けて!”って」
「黙れ!!!」
「ぐぁっ、」
ルナはその場を離れ、俺の所までゆっくりと歩いた。
そっと手を差し出されその手を掴み立ち上がる。
「ルナ、」
「しー…」
人差し指を口に立て、黙るようにとジェスチャーされる。
「許さない、お前だけは絶対に!!」
「はっ、ぁっ、」
「俺はお前を簡単に死なせたりしない。生まれてきた事を後悔させてやる」
そんな空気を壊すように、隣に居たルナはパンパンッと両手を叩いた。
「弥生、ここじゃ面倒になるから移動しよう」
「っ、ルナさん、でもっ」
「別に止める気はないよ。弥生が考えるやり方で、気が済むまで好きにすればいいから」
「っ、俺の事、許してくれるんですか…」
「…許さないよ。だから、弥生はもう私の言いなりだね」
あぁ、もうこの世界から弥生は出て行けない。
「……そんなの、本望です」
俺と同じ、堕ちた人間。
ルナに従順なイヌとなる。