太陽に手を伸ばす少女
□□□


しばらくすると外から車が停まる音が聞こえた。
恐らく2名、男がこちら走って近付いてくる。

…なんとなくそれが誰なのかは検討はついていた。


「ハナ、とりあえずウチの人間何人か呼んでこいつら運び出そう」

「分かった」

「弥生、運びやすいように黙らせといてね」

「はいっ」


死人は出ていない。掃除屋はいらないだろう。
血は飛び散ってるけどまぁ、ここは真央が管理する倉庫だし、どうにでも出来る。


「ツキ！！！」


容赦なく開けられた倉庫の扉。
五月蝿い声が響いた。


「無事か！怪我は！？」

「ない」

「あるじゃねぇか嘘つくな！！」


頭から血はもう止まっている。
傷付けないように、まるでシャボン玉に触れるかのように優しく触れられ鳥肌が立った。


「触んないで、鬱陶しい」

「お前なぁ！……って、え？」

「何？」


目を見開いた久住はハナに視線を移した。
つられて私もハナを見ると、ハナは苦笑いをして頷いている。


「きっもい！！！」

「記憶戻ったのか、俺の事は！？分かるか！？」

「知らないあんた誰だよ」

「はっ、」

「嘘だよばぁか」

「お前っ、このっ！！」


抱き締められるその腕に力が入っていく。
この煙草と香水が混ざった匂いが懐かしくて、気持ち悪かった。


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