太陽に手を伸ばす少女
昼頃で学校を出て、マンションへと向かった。
「ぅわっ、」
スマホを触りながら歩いていたせいか、目の前に人がいる事に気付かなかった。
いや、ちゃんと周りも見ながら歩いていたはずだけど。
「歩きスマホは駄目じゃない?」
「……羽宮、」
2ヶ月程会わなかった間に、羽宮の雰囲気はまるで変わっていた。
「久しぶり」
「久しぶり…」
羽宮の後ろにはあの男がムスッとした顔で俺を見ていた。
「…お前、ここ最近学校来てなかった見てぇだけど何かあったのかよ。体調でも悪かったのか?」
「いや、そんなんじゃないけど」
「…もしかして、記憶が戻ったのか」
羽宮が、というよりも後ろにいる男がその俺の言葉にピクリと肩を揺らして反応した。
「うん、分かっちゃった?」
「おう。前と、全然違うから」
羽宮が纏っていた雰囲気も口調も若干違う。
同じ人間なのに、記憶が戻るだけでこうも変わるのか。