太陽に手を伸ばす少女


「本当はもっと早く会いに来たかったんだけどごめんね、遅くなって」

「…なんで、俺に」

「優しくしてくれたから」


相変わらず煙草と香水の混ざった匂いをしている。
ただ、違うのは香水の匂いだ。

大人びたその雰囲気によく似合っている。


「別に、クラスの奴らからも優しくされてただろ」

「1番記憶にあるのは君だよ」

「……もしかして俺の事殺しに来た?」

「は?なんでそうなるの?」

「だって、この前そこの男がそう言ってた。記憶が戻ったらお前は殺されるぞって」

「…ちょっと、ハナ。何勝手な事言ってんの」

「だってこいつが!……ムカついたからちょっと脅してやろうかと思っただけだっつの」


ついこの間まで偉そうにしていたあの男が、今じゃ飼い主に怒られる飼い犬のようにしゅんとしていて気持ち悪い。

そして何より、羽宮の姿を見てやっぱり…と思ってしまう。


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