太陽に手を伸ばす少女
「…そんなに細かく調べてるんならもう知ってると思うから言うけど、ウチは殺しも薬もお金を積まれたらなんでもやるシステム」
「おいルナ、」
「表の世界でしか生きてこなかったあんたに、何の使い道がある?」
「それは、」
「“私”はメリットがないと人助けはしない」
「っ、」
俺の名前を天真爛漫に呼び、にっこりと笑っていた彼女の影はもうこいつにはない。
羽宮はもう俺が知っている羽宮ではなくなったのだ。
…いや、戻ったのか。本来のこいつに。
「……まぁでも、あんたにはだいぶお世話になったしなぁ」
「…え?」
「仮に、そのお兄さんが殺されたらどうするつもりだったの?」
「それはっ、俺が仇を、」
「ふふふふっ、そっかそっか」
「なんだよ、」
「数ヶ月お世話になった分のお礼をしてあげる」
「はっ?」
「なん、で…。メリットのない人助けなんてしないんじゃなかったのかよ」
「気まぐれだから気にしないで?」
少し時間を貰うけど楽しみにしててね。
と、にっこり笑った。
俺は知っている。
笑う事に慣れてないような、目が笑わず口元だけの貼り付けた笑顔。
兄貴と一緒の笑い方をこいつはするんだ。