太陽に手を伸ばす少女


《積木 麟太郎 様》と明朝体で人工的に印刷された封筒。
妙な雰囲気がする封筒をそっと開けると、《調査書》と書かれた数枚の冊子と数枚の写真が入っていた。


「…っ、うわぁぁぁっ!!!???」


手に取った写真は床にハラハラと散った。
そのまま床に尻もちをつき、後ずさる。

あの写真はなんだ。一体何が、どうして。

写真には見知らぬ男が血だらけになっているところが撮られていた。
明らかに、死んでいるだろうそれ。


「はぁぁっ、はぁ、は、」


調査書には正方形の付箋が貼られており、そこに誰かの手書きで何かが書かれていた。


《数ヶ月のお礼分》


やっぱり、羽宮だった。
ポストに入れたのは恐らく羽宮ではないが、これは確実に羽宮からの物だった。

震える手で写真をかき集め、調査書を開く。


「っ、兄、ちゃん…」


そこには兄貴が死んだと、殺されたと書かれていた。
犯人は、写真に血だらけになっている男。
動機は不明。無差別。誰でも良かったらしい。

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