太陽に手を伸ばす少女


何か言いたげに部屋を出て行った弥生。
ルナは気にせずにニコニコしながら美味しそうに飯を食っている。


「ルナ、わざとだろ」

「何、兄弟いるか聞いただけじゃん」

「分かってるくせに」

「世の中って案外狭いよね」

「……」

「過去を捨てたなら、こんな事で動揺してちゃまだまだなんだよ」


1度裏切られた事をルナは根に持っているのか、時折弥生に対して意地の悪い事をよくする。
反応を面白がっているのか、その忠誠を試しているのか俺には分からないけれど。


「…で、このおっさん誰なんだよ」

「積木麟太郎の仇になる奴」

「はぁ?…………これ、兄貴が死んだ事になってんじゃねぇか」

「うん」

「てか、この中身弥生知らねぇのかよ」

「調査書はね。写真の男は最近ウチにちょっかい出してた男。鬱陶しいからちょうどいいなって思ってさー」


詳しい事は話さずにとりあえず殺して証拠に写真撮ってこいと命じたらしい。


< 145 / 149 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop