太陽に手を伸ばす少女
「“相性”ですよ。あれはいつだったかな、真央とは相性が悪かったみたいで呼ばれた事があるんです。満足しなかったんでしょうね」
「は、」
「まぁ真央が居なくなったそのまんまの状態で呼ばれたので不快でしたけど、上書き出来たと思えば優越感に浸れましたし、男としても勝った気がして相殺されました」
「チッ」
「お幸せに。貴方達がどうなろうと、俺は変わらず今まで通り常にルナの傍に居ますけど」
お前ではなく俺が呼ばれた。
要はそれが言いたいだけである。
という事はあの弥生という男もそのうち…、いやもしかしたらもう既に。
本当に俺はなんて女に惚れてしまったんだ。
あいつの前でこんな醜い男の嫉妬と束縛を繰り広げる訳にはいかない。
その瞬間にきっと逃げられてしまう。
「……死ね、クソガキ」
鼻歌混じりに去って行く背中にそう呟いた。