太陽に手を伸ばす少女
◁◁◁


『……保護者?貴方が?私の?』

『おう。俺はお前の保護者だ』

『え?いや、えっと久住さん?は今お幾つなんですか?』

『27』

『私は?』

『16』


一体この人の言う“保護者”がどういう意味なのか分からないが、そう言い切る彼に何も言えなかった。

自分の事や今まで私がどんな風に生きてきたのか、誰と関わってきたのか、諸々そこら辺の記憶はごっそり抜けていて日常生活に必要な簡単な計算や物の使い方は覚えていたから不思議なものだ。


『俺はお前の事をよく知ってる』

『…私も、貴方の事をよく知ってたんですか?』

『あぁ。知ってると思う』


久住さんはそれからも定期的にお見舞いに来てくれた。
…でも来るのは彼だけで、友達も恋人も誰1人来ない。

記憶を失くす前の私はひとりぼっちだったんだろうかと不安になった。

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