太陽に手を伸ばす少女
「うちのクラスは比較的明るい子が多いから、きっと羽宮さんもすぐに馴染めると思うよ」
「ありがとうございます」
教室に向かう途中で緊張している私に気を使ってか他愛もない話を深山先生はしてくれた。
階段を上がり、正面の窓から見えた緑の多い中庭。
もうすぐ朝のHRだというのに、ベンチに男子生徒が横になっているのが見えた。
「…先生、あそこにいる人って、」
「ん?…あぁ、彼は一応羽宮さんとクラスメイトだよ」
「一応?」
「僕があんまりこんな事言っちゃダメだと思うけど、彼はうちで1番の不良生徒なんだよ。手が付けられなくて…。危ないから羽宮さんはあまり近寄らない方がいいかもね」
“不良生徒”って本当にいるもんなんだ…。
あそこのベンチちょうど日向になっていて今の時期ならポカポカして気持ち良さそう。
…どんな人なんだろう。
そんな事を考えていると、「着いたよ」と気付いたら教室の前に来ていた。