太陽に手を伸ばす少女
□□□


転校してから2週間が過ぎようとしていた。
クラスメイトにまた来週ね、と別れを告げ覚えたての帰り道を歩く。


「ルナ、探したぞ」


校門を出てすぐの曲がり角を曲がった瞬間に目の前に見知らぬ男の人が立っていた。

その目は真っ直ぐに私を捉えている。


「……えっ、と…」

「もう逃がさねぇからな」


男の人はそう言って腕を掴んできた。
全身真っ黒な服で変わらず真っ直ぐに私を見つめる目にゾワリとした何かが背中を通った。

身に覚えのない、記憶にもない男の人。


「おい、ルナ?」

「っあの、人違いだと思います!私そのっ、ルナって名前ではないので!」

「は?」

「ぅ、腕、離しっ…」


力強く掴んでいる手が弱まる様子はなく、強すぎて振り払う事も出来ない。

チラッと男の人の顔を見ると眉を顰めて私を見ていた。


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