太陽に手を伸ばす少女
翌日、いつものように朝マンションを出ると洒落た花壇に腰を掛けている男の人がいた。
「よぉ」
「なんで、ここに…」
私の姿を捉えた男の人は手をヒラヒラと振りながら立ち上がり私にゆっくりと近付いてきた。
今日もまた、全身真っ黒な服に身を包んでいる。
「お前を見つけ出す事くらいなんてことないんだよ」
「なにそれ、」
私達の他に人の気配はない。
昨日のように助けてくれる人がいない状況で、足がすくんだ。
「ル…、あー…。俺はツキの事をよく知ってる」
古い仲だ、と男の人は言った。
「そんなに警戒しなくても別に何もしねぇよ」
「そんな事言われたって…」
私の事を知っていたとしても、今の私にはその記憶もないし本当に知り合いなのかも判断出来ない。
昨日出会ったばかりの男の人に家まで突き止められ待ち伏せされたら警戒するに決まっている。