太陽に手を伸ばす少女


さっきまでのオレンジ色の空はすっかり真っ暗になっていて、マンションに着く頃には時刻は20時になろうとしていた。


「じゃあな」

「あ、待って下さい!」

「なんだよ」

「今日はありがとうございました」

「……ご丁寧にどうも」


エントランスに入り、振り返ると蒼井さんはまだそこに立っていていつかのように手をヒラヒラさせながら片方の手をポケットに入れている。

エレベーターに入り、今まで見ていなかったスマホを見ると今朝送った久住さんへのメールに返信があった。


《もうすぐ着く》


そう送られてきた時刻はつい先程。
それ以上連絡が来てないって事はまだ着いていないんだろう。
良かった、ギリギリ間に合って。


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