太陽に手を伸ばす少女
死に物狂いで探し出し、やっと見つけ出したと思ったのにあいつは俺の事どころか今までの何もかもを忘れていた。
「縹、お前こんな所に居たのかよ」
「……なんだよ」
ここは俺の部屋だ。
自分の部屋に居ておかしい事はないだろう。
1人分のソファは窓の外を向いており、最早綺麗と思わなくなった夜景をボーッと見ていた。
「ルナは見つかったのか」
「…さぁな」
「は?早く探し出して連れ帰って来いよ」
「無理だ。今のルナはルナじゃない」
「何言ってんだお前」
何言ってんだ、はこちらのセリフだ。
いつからそんな舐めた口をきくようになったのか。
…やっぱりルナが居ねぇと調子に乗って鬱陶しいな。
ブツブツと文句を繰り返す浅田の声に同情の気持ちが湧く。
気持ちも分かるが、ここは俺の部屋だ。
勝手に入っていいわけがないだろう。