太陽に手を伸ばす少女
「なんっ、」
「やぁっと見つけたんだから…。凄く、ものすごーく会いたかったんだからね」
「えっと、ぁ、あの、」
状況が掴めない。誰なの、この子。
どうして私はこんな可愛らしい男の子に抱き着かれているんだ。
「い、一旦離して、」
見た目に似合わずやっぱり男の子なのか、力がお強いようで抵抗してもなかなか動けないし、離れられない。
人も通らないしどうしようかと本格的に焦り始めた時だった。
ギュッと首に回されていた腕は背中に下がり、優しくトントンとされた。
まるで赤ちゃんをあやすように。
「僕ね、知ってるよ?事故に遭って記憶が失くなっちゃったんだよね…。でも大丈夫、僕が居るからね…」
「っ、」
「ねぇ、僕の名前を呼んでくれない?」
久しぶりに呼んでよ、と言う男の子。
未だに状況が掴めていない私は頭をフル回転させてこの子の名前を検索するが、全く見当たらなかった。