太陽に手を伸ばす少女
「へ、」
背後から出て来たのは久しぶりに見る蒼井さんの姿だった。
「はぁ…」
呆然とする私に蒼井さんはわざと見せつけるようにため息をついて呆れた顔をしている。
「……ルナちゃん、あっち行こう?」
「えっ、」
「こらこら、何してんだよ」
真央は構わず再び私に近付き私に触れようとしたがそれは叶う事なく、蒼井さんは真央の腕を掴んで振り払った。
「っ、汚い手で僕に触るな!!」
「あぁ?てめぇこの前人の髪引っ張っといてよく言うわ」
「あれは僕の判断だ。僕に許可なく触れていいのはルナちゃんだけなんだよ!!」
「ははっ、相っ変わらず気持ち悪ぃなぁ」
「だいたいどうしてお前がここに居るんだよ!」
「それはこっちのセリフなんですけど?」
さっきまでのふんわりあざとい可愛い男の子は一体どこに行ってしまったんだ。
驚く程の口の悪さとその態度。
すると蒼井さんの目がギンっと急にこちらを向いた。
…あ、怒ってる。
「お前もお前だ!この馬鹿!」
「ぁいたっ!」
「誰彼構わず絡みやがって…、死にてぇのか!」
「死っ、…ってそんな、」
頭にゲンコツ1発、多分割と本気で殴られた。
久住さんにもまだ打たれたことないのに。