太陽に手を伸ばす少女
夜ご飯を求めて近くのコンビニで何か買おうと財布とスマホだけを持って外に出た。
近くと言っても少し歩く所にあるから普段体を動かさない私にとってはいい運動になる。
夜でも少し蒸し暑い。
コンビニに入るとひんやりとした空気が身を包み鳥肌が立った。
そしてそこに、見覚えのある姿を見つけた。
「…うわ」
「うわってなんですか」
人の顔を2度見して、ひと言目が「うわ」とは。
コンビニなんて何処にでもあるのに、どうして蒼井さんがわざわざここのコンビニにいるのか分からなかった。
そしてご丁寧にカゴを持って買い物をしているのがシュールで笑いそうになってしまう。
「……体、大丈夫なのかよ」
「はい。蒼井さんは…、本当に擦り傷だけだったんですね」
手のひらに細かな傷が見えたが、逆にそれ以外見当たらなく何よりいつも通りそうで安心する。
「………手、」
蒼井さんの隣でアイスに手を伸ばした時、私の手の甲を見たのか顔を顰めていた。
「なぁ。記憶、戻ってねぇの?」
「……戻ってないです。ごめんなさい」
「…あっそ」
別に謝る事じゃねぇ、と言われた。
言葉にはしないが何か思い詰めているような、考え込んでいるような表情に戸惑ってしまった。