太陽に手を伸ばす少女
「あの、」
「あ?」
「一体どこに?」
「飯食いに行くって言ったろ」
「…まさかですけど、高級レストランとかじゃないですよね?」
「ねぇよ馬鹿。ファミレスだわ」
ふんっと鼻で笑った久住さんの言葉に安心した。
この人の事だから高級レストランとか予告なしに連れて行きそうだし。
「…あっ、そういえば久住さんに聞きたい事があるんですけどいいですか?」
「まぁ、俺に答えられる事なら」
肘を着いて気だるそうにスマホを触っていた久住さんは隣に座っている私に視線を移した。
「私って、あ、前の私って何かSNSとかやってなかったんですか?」
「あー、やってなかったと思うけど」
「そうなんだ…。あ、じゃあ、写真とかは?久住さん私の保護者なんですよね?持ってるでしょ?」
「無い」
「いや探してよ」
「ねぇよ。お前写真嫌いだったし」
「えぇ…」
希望の光はなくなってしまった。
この人は私に記憶を取り戻して欲しくないのか、とたまに思う。
協力的なようで非協力的なのだ。